LED-UV露光機で充実した設備やDTP作業を生かす 作業の”待ち”時間を解消し効率性向上
㈱フナミズ刃型製版(埼玉県朝霞市栄町、木原一裕社長、☎048-465-2140)は現在、タカノ機械製作所製のLED-UV露光機「Exposure-A2neo」を活用し、製版工程全体の効率化を図っている。同社はこれまで、複数台の製版機(ケミカルタイプ)のほか、イメージセッターやCTPなどを所有。これら設備をフル稼働させると、露光工程の前に”待ち”が発生してしまっていた。そこで露光時間が短縮できるLED-UVタイプの露光機を導入したという。同露光機がもたらすメリットや特長などリポートする。
同社がLED-UV露光機「Exposure-A2neo」を導入したのは2018年。国際総合印刷機材展「IGAS」のタカノ機械製作所ブースで、実機を目の当たりにしたのがきっかけとなった。フナミズ刃型製版は、従来のケミカルランプに比べ露光時間が短縮できる点を最大の理由に挙げる。
Exposure-A2neoは、主・後露光を行うもの。同社がアナログ・CTP・フレキソ版用にそれぞれ使い分けているケミカルランプタイプの製版機に比べ、露光時間が最大6分の1まで短縮できるという。また同社が凸版印刷用でも提案するフレキソ版は特に露光時間がかかるものだが、製造時間を約3分の1に。午前中の受注にも一部即日対応が可能になった。
同社製造部の小川央輔製版課長は「露光時間が大幅に短縮するLED-UV露光機を導入したことで、こなせる製造数が増えた。加えて検版後の焼き直しも即時に対応できる」と導入のメリットを述べ、「日本酒ラベルなどで多用されている和紙のほか、クレープ紙といった凹凸のある基材に対して、色の再現性が高いフレキソ版の引き合いが伸びている。これまで提供するのに時間を要していたが、急ぎの案件などでお役に立てる」と付け加える。
DTP作業においても、エスコグラフィック製の製版ソフトのほか、トンボやアイマーク、アクセサリーなどを容易に付けられる独自ソフト「トンボスクリプト」で効率化を図る同社。
簡易な操作を追求することによって、時間短縮とトンボの付け間違いなどミスの軽減につながる工夫を講じてきた。
加えて、CTPとイメージセッターを2台ずつ所有するなど露光前の工程が充実した中で、これらのシステムや設備をフル稼働させた場合、露光作業に待ち時間が生じていたという。この点において露光時間を短縮するLED-UV露光機は、同社のスムーズな製版工程を確立するのに一役になっている。
同機の特徴として特筆すべきは、設定した露光量に向けて瞬時に到達し、かつランプの端と中央でもムラなく均一な照度を保つこと。同社によれば、ベタ印刷用の製版でより適しており、活用する頻度が多いという。
フナミズ刃型製版では現在、LED-UV露光機の稼働率は約3割で、一方ケミカルランプ式の製版機は7割だという。小川課長は「まだまだLED-UV露光機の稼働率は低く検証の余地がある。細線や網点のある版でも安定した品質を担保できるよう、露光時間などの調節を見直し、稼働率を上げられれば」と方向性を示す。
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同社が設備する製版機のうち、CTP版用には、洗浄時に溶け出すブラックレイヤー層をろ過して循環させる装置が搭載している。また洗い出しと乾燥、後露光を連続して行う自動露光機を所有。このように版材によって異なる製造条件や大量の仕事をこなす際にボトルネックとなる洗い出し時間を考慮し、複数の装置を稼働させるという。
版製造のうち、露光前に加えて現像工程においても待ち時間の発生を指摘する同社。ためてしまいがちな露光後の版を迅速に処理するため、もともと所有していた洗い出しから乾燥、後露光までをワンパスで行う装置と、LED-UV露光機との組み合わせがさらなる作業効率向上につながる結果となった。
後露光に関しては既設機のケミカルランプ式で5分かかっていたものがLED-UV露光機では50秒に短縮されたこともある。版を取り換える単純作業を50秒おきにこなしていく必要があるため、刷版担当者以外にも隙間時間を活用してもらっているという。これを実現したことで、より専門性が要求される主露光の調節やブラシによる洗浄などへ、担当者が専念しやすくなった。体制が構築できているため、扱う機材が増えても支障はなくスムーズに仕事をこなせているようだ。
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タカノ機械製作所によると、LED-UVの寿命は1万6000時間。10年使い続けても交換する手間がかからないとも言われている。「当社が扱う製版機ではケミカルランプを半年に1度交換しなければならない。長寿命な露光機を積極的に活用していくことができれば、メンテナンスにかかるコストの削減にもつながるはずだ」(小川課長)
最後に小川課長は今後の展望について「LED-UV露光機の導入によって、製造スピードが向上したフレキソ版を始めとするニーズに応えていく、また新たな版材がリリースされた場合でも、LED-UVタイプが適しているか検証を進めていかなければ」と結んだ。