ラベル新聞 2021年6月1日号


新チェアマンインタビュー

任意団体Vieps(ヴィープス) 木原一裕チェアマン
意思ある者の「共創の場」、これからも

任意団体ヴィープスの新チェアマンにこのほど、木原一裕氏(㈱フナミズ刃型製版)が就任した。印刷会社とメーカー、サプライヤーの垣根がなく対等な関係性で運営される同組織において、第4代チェアマンは初の印刷会社外からの選出。10年超にわたって顔役を務めてきた宍戸伊助氏の後を継ぐ木原新チェアマンへ、組織に対する思いや活動指針について話を聞いた。
◇◇◇
――入会のきっかけは
「入会は2006年でした。ヴィープスというおもしろい団体があって、今度CTPの勉強会をやるから一緒に行ってみないか、と取引先でもある会員企業の社長に声をかけていただいたのがきっかけでした。それを契機に、翌年には自社にCTPを設備しました」
――入会を決めた点は
「営業活動目的ではなく、そこに集うラベル印刷会社はどんなことを考えているのか。何が課題で、互いにどんな会話をしているのかという点に興味があり、それが知りたくて入会した形です。今から15年前なので、40歳前くらいですね」
――背景として
「その少し前まで私は主に製版業務へ従事しており、外に出る機会がほぼありませんでした。次第に業務が忙しくなったため新たに人を雇い、任せられるようになったので営業で客先に行き始めた時期でした」
――当時の印象は
「組合で言うところの組合員と協賛会の隔たりがなく、等しくいちメンバーであるというフラットな関係性を強く感じました。また、ただ何となく来ている人は居らず、自分たちで何か変えていくのだという熱意を持った人たちが集う組織だというイメージでしたね」
「私が今回チェアマンに就任した背景も、そうした印刷会社もメーカーもフラットであるという会の特徴に基づいています」

「社会貢献」を実装
――さて活動テーマを
「歴代チェアマンの思いを引き継いで、会員企業にメリットがある勉強会や企画を引き続き実践していきます。それと共に今期の活動テーマに『人と地球に優しく』を掲げました」
――具体的に
「これまでヴィープスは、海外製品の共同購入に始まり、機械と機会の共有化、業界の先進技術習得と活動を続けてきました。そこへ新たに『社会貢献』の要素を実装したい狙いから、その一策として掲げました」
「SDGsに働き方改革、脱炭素社会といったトレンドワードが日々耳目に触れています。いずれもこの先、中小企業も避けて通れない命題となるはず。自社だけ儲かればいい・環境配慮など関係ないというスタンスでは、お客さんからも求職者からも選ばれないでしょう。企業は社会の一員としてこれからどうあるべきか。そんな時代を目の前に、ラベル業界も乗り遅れることのないようにとの思いから、当テーマに則した活動を実践していく考えです」
――具体的な方策は
「4月に企業の『健康経営』に関する講演を実施したほか、環境については日本印刷産業連合会が主催する『グリーンプリンティング(GP)認定制度』に着目。単に講師から知識を得る目的だけでなく、実際に工場認定の取得を目指す会員企業を支援していく具体案も用意しています。1社でも多く〝エコな印刷会社〟をヴィープスから輩出することで、環境配慮に積極的な団体・社会貢献活動に重きを置く組織・そうした意識の高い企業が集う集団を形成し、ヴィープスから社会貢献を実現していければ――という狙いです」
「環境についてはGP以外にも、SDGsやEMS(環境マネジメントシステム)などにも注目しています。会員から挙がってきた案や要望へ柔軟に応じながら、私自身も周辺知識や情報を包括的に吸収していきたいと考えています」

フラットに共創する場
――ヴィープスのよさは
「一つ挙げるとすれば、毎月勉強会を実施している点でしょうか。コロナ禍にあり、社会やビジネス環境など世の中が大きく変化しています。環境の変化へいかに適合し、今後どう舵を切るかを考えるのかが経営者の仕事。ヴィープスは会員が今どんな情報があったら役に立つのかを探りながら、その時々に見合ったテーマを提供していきます。その点で毎月活動しますので、追加や変更、軌道修正といった変化も容易です」
「いわば、ヴィープスは小さな会社みたいなもの。大企業だといち社員の意見なかなか通りづらいですが、ここでは一人一人が主役。どんどん意見を発信して、会を自分の力で変えていくこともできます」
――やりたいことなど
「東京に来にくい地方会員のために、コロナが落ち着いてもZoomを併用してオンライン参加できる手段を講じていきます。オンラインは対面参加よりも気軽でハードルが下がるので、これを活用する一手も。今後、ヴィープスの考え方に賛同する方や講演内容にご興味を持たれた方がオンラインでも〝お試し参加〟しやすいよう門戸を開き、アクセスいただける機会や環境を増やしたい考えです」
――最後に決意を
「次期チェアマンを育てたいと考えます。ユーザーにシール・ラベルを直接提供して、日々さまざまな産業分野を支えているのはラベル印刷会社各位。われわれメーカーではありません。双方がフラットなのがヴィープスの魅力ではありますが、こうした点から印刷会社がけん引する組織であってほしい思いもあります」
「時代と共に顔ぶれや経営課題は変わるもの。それでも、常にここは主体的に現状を変えたいというマインドを持つ者が集い、フラットな立場で何かを共創していく場でありたい。そんなサスティナブルなヴィープスを目指したいですね」