グラデーションや写真、画像の印刷において、色見本や画面で見るのと比べて、
グラデーションの切れ目が目立ってしまうことはありませんか?
また、グラデーションが切れないようにデータを調整したものの、
今度は色が濁って汚く見えてしまうこともあるかもしれません。
そんな時、デザインによっては、データの調整次第でより美しく印刷できる場合があります!
そこで今回は、弊社が行っている製版データのグラデーション調整についてご紹介いたします。
凸版印刷のドットゲインとグラデーションについて
ドットゲインとは、通常、印刷時にアミ点が太る(版よりも大きくなる)現象のことを指します。
凸版印刷の場合、アミの切れ端は、アミが密集した中心部に比べて印圧の影響を受けやすく、グラデーションを切らすと、その切れ目がくっきり目立ってしまう傾向があります。(もちろん、アミが密集した中心部にも印圧の影響はありますが)
しかし逆に、グラデーションを繋げようとして最小のアミを2%敷き詰めると、ドットゲイン効果によりデータ上では2%のアミ点が5%以上の濃さになってしまうことがあり、その結果、全体的に暗く沈んだ印象を与えることもあります。

製版データの調整においては、グラデーションを切らすことと繋げること、
それぞれのメリットとデメリットを理解し、適切にデータを調整することが重要です。
ドットゲインについて詳しくは、過去の記事でご紹介していますので、気になる方はぜひご覧ください。
グラデーションを繋げる
製版機の状態や樹脂版の露光時間、洗浄時間によっても異なりますが、弊社では基本的に2%までのアミ点は再現可能です。
そのため下図のようなグラデーションの場合、弊社ではグラデーションを繋げても印刷結果に悪影響が無い
と判断し、カットライン上部まで2%のアミを伸ばします。


グラデーションを切らす
先ほどのようなグラデーションの場合、0%→2%に引き上げて調整しても、
入稿データを画面で見た際の印象と比べてほとんど変わりませんが、下図のようなデザインではどうでしょうか。

仮に2%全面に敷き詰めると・・・

画面上で見た際の2%は白く見えますが、実際に印刷すると白くは見えず、デザインの上部は水色に見えます。
また、入稿データのグラデーションが文字の下で切れていた場合、
グラデーションの調整を行わずに製版して印刷すると、切れ目がくっきりと目立ってしまいます。

そこで、今回のようなデザインの場合、グラデーションの切れ目を少し上に移動すると、切れ目がスミ版に隠れて目立ちにくくなります。
また、画面で見た入稿データのイメージに近い仕上がりが期待できます。

金色のグラデーションについて
2種類の単純なデザインで、グラデーションを繋げる事例と切らす事例をご紹介しましたが、
イラストや写真などの画像データであっても、グラデーションを繋げるか切らすかの判断基準は同じです。
また、たまに下図のようなCMYK掛け合わせで作られた金色のグラデーションを
入稿データで見かけることがありますが・・・

濃い色の部分は、C18%、M25%、Y69%、K10%という配合の色ですが、
デザインの一部に墨文字や墨ベタがあった際にKを全体に敷き詰めると、画面上で見た際には違和感がない場合でも、製版して印刷すると暗く沈んだ印象になってしまいます。

そこで、弊社ではCMYKの4CをCMYの3Cで補色することを提案します。
※濃い色の場合、補色できないこともあります。

色同士をくっつけて並べても、境界線がわからないレベルまで調整します。
その際、⌘+H(winの場合ctrl+H)で境界線を隠すと作業がしやすいです。

そうすることで、金色が入稿データのイメージと比べて暗くなりにくく、
また、CMYの3Cを繋げることでグラデーションの切れ目も発生しません。

掛け合わせの補色については、デザインに応じた調整が必要であり、デザインによってはインキの出し量を考慮し、画面上での補色を同じ色にしないこともあります。
例えば、金赤のベタがある場合は、マゼンタ(M)の濃度を下げることがあります。
また、色によって切れ目が目立つものと目立たないものがあります。
イエロー(Y)のような薄い色の場合、切れ目があまり目立たないため、グラデーションを繋げたり、切れ目の位置を調整する必要がないこともあります。
弊社に製版のご注文をいただいた際には、部分的なグラデーションだけでなく、全体のデザインを考慮して、
入稿データが画面上のイメージに近く、かつ綺麗に印刷できるよう、グラデーションや画像の調整を行っています。
製版のお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。
お客様のより良い印刷ライフの一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました

木原 優/Yu Kihara
フナミズ刃型製版の営業担当
本ブログは「シール印刷にまつわるお役立ち記事」をテーマに運営