捨て刃で解決!カス上げの悩みを解消!?

先日、九州シール印刷協同組合の工場長会研修会にて、弊社フナミズ刃型製版もオブザーバーとして参加させていただきました。

研修会では、カス上げに苦労する仕事の中で、捨て刃を入れることでカス上げがしやすくなる事例を発見しました。
そこで、今回のブログ記事ではその内容を共有させていただきたいと思います。

九州シール印刷協同組合の工場長会について

工場長会では年に数回、勉強会や研修会を開催しており、 最近では『今さら聞けない勉強会』と題して、Web 勉強会も実施しています。

勉強会や研修会では、印刷に密接に関係する材料、インキ、版、型などの知識を再確認したり、実際に実機を用いて、各社の印刷や抜き技術を共有したりしています。

また、普段は社外の方と接する機会が少ないオペレーターの方々にとって、社外の方と交流する貴重な機会にもなっています。

研修会 お願いです ! この形のシールのカスあげてください !!

今回の研修会では、昨年 9 月に開催した、今さら聞けない勉強会 第 6 回「刃型編」 ~ 刃型についての再確認 ~ の検証として、各社がこれまで製造したラベルの中で、特にカス上げに苦労した事例を持ち寄り、実機を使って工場長会メンバーでカス上げを行いました。

バクダン形状のシールのカス上げ

弊社では、下記のような形状を爆弾が爆発した様子に見えることから「バクダン」と呼んでいますが、
皆様の会社ではどのように呼ばれているのでしょうか。
以降、この形状のことは「バクダン」と呼びます。
より細かな形状の「バクダン」を送り抜きした記事はこちら

実際にあったお仕事としては、
使用原紙:グロス PW 8K(リンテック(株)) 90mm 巾 サイズ:76mm x 77mm
刃型の仕様:1 面
ドブは 3mmで左右送りのお仕事ですが、ドブ部分でカスが切れてしまうという問題がありました。

そこで、刃型に捨て刃を入れることでカス上げをうまくできるように検証を重ねました。

まず、下図のように 90mm 巾のシールにカッティングプロッターを使い、「バクダン」をドブ 3mm 空きで3面ハーフカットします。

このままの状態で手でカスを上げてみると、M(マゼンタ)色の部分のカスが上がりませんでした。

そこで、捨て刃を加えてプロッターでハーフカットし、手でカスを上げて検証を行いました。
何パターンか試した結果、下図のような捨て刃の形状と位置が有効であることがわかりました。
このように捨て刃を配置することで、先ほどまでカスが上がらなかった部分を持ち上げることができました。

実際に作製した刃型がこちらです。

当日の研修会では、最初に捨て刃なしの刃型を用いてカス上げを試みましたが、
やはりドブ部分でカスが切れてしまいました。

そこで、捨て刃入りの刃型を試してもらったところ・・・

手でカス上げするところまではできました!

惜しいことに、時間の都合でカスの巻き取りまではできませんでしたが、実際にこの仕事を担当されたオペレーターの方によると、この様子なら巻き取りも問題なくできそうとのことでした。
また捨て刃なしでは手でカスを上げることすらできなかったとも仰っていました。

全半抜き仕様の刃型のご紹介

今回の研修会では、各社が持ち寄った刃型の中で、弊社の全半抜き仕様の刃型について質問をいただきました。
実際の刃型とは異なりますが、下の写真のような刃型です。

「刃の裏に何か貼ってあるように見えますが、何ですか?」と質問されました。

中の丸と角 R の四角を除いて、外側の四角の刃材の裏にのみステンレスのテープを貼っています。
こうすることで、全抜きする箇所と半抜きする箇所との刃高の差を出しています。

使用しているステンレステープの仕様は以下の通りです。
・表面基材の厚み : 0.05 mm
・糊の厚み : 約0.05 mm
※基本的には受けの板の方でムラ取り作業を行い、抜き圧の微調整が必要です。

全半抜き仕様の刃型の場合、通常0.05 mmのステンレステープを貼ることが多いですが、全抜きの刃と半抜きの刃の高低差をさらに出したい場合は、0.025 mmのステンレステープを重ねて貼ることも可能です。

ちなみに 0.05 mmのステンレステープを貼った刃型を使用し、弊社で校正抜きを行った場合、グロス PW 8K(リンテック(株))の材料においては、特に受け側の調整を行うことなく、外側は全抜きされ、中はムラなく綺麗に抜けます。

また、全抜きのミシン刃で使われることもよくあります。

今回は抜き加工の改善案として、捨て刃とステンレステープをご紹介しました。
刃型に関するお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。

お客様のより良い印刷ライフの一助となれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました

木原 優/Yu Kihara
フナミズ刃型製版の営業担当
本ブログは「シール印刷にまつわるお役立ち記事」をテーマに運営