最近では、活版印刷業界からの製版に関するお問合せや新規のご注文が増えてきました。
今回は活版印刷をおこなっている会社様の事例等をご紹介させていただきます!
活版印刷機での印刷物
今回は当社の製版を使用いただいている、ALBATRO DESIGN(アルバトロ デザイン)様にご協力いただき、活版機で印刷した様々な作品を撮影させていただきました。
実際に印刷見本を刷る際にご使用いただいている亜鉛凸版。活版印刷ではメタルベースと言う金属製の版台に亜鉛凸版や樹脂凸版を貼って使います。そうすると一般的な活字と同じ高さになり、活字と組合わせて使うことも出来ます。
実際に刷っていただいた印刷見本です。左右それぞれ拡大してみると・・・
0.25ptの直線や白抜き、2.5ptの文字もきれいに印刷できています。細かいデザインを印刷する際、インクの出し量を調整すれば版の圧調整等をしなくても再現できるとご評価いただけました!
版のポイント
繊細なデザインを製版する際は、印刷の際に意図しているデザインを再現できるかどうかをデータ上で注意する必要があります。
また、一般的に活版印刷では亜鉛凸版を使用されると思われがちですが、最近では印刷デザインや使用する紙によって樹脂凸版の使用も提案しています。
亜鉛凸版では作成できない細かなデザインを再現できることや、亜鉛凸版よりも安価で作製できるのが魅力です。
なかでもCTP樹脂版である「GL-L 9T」は高評価を頂くことが多いです。
こちらの作品は、亜鉛凸版と樹脂凸版を使用してエンボス加工とデボス加工を組み合わせて作成されています。
具体的に、どのように版を分けて作製したかというと・・・
このような形になります。三葉虫の節々等の内面とカード下部のURL等の文字はデボス加工で沈ませています。
細かいデザインや3ptの文字もしっかりと凹んで表現できています。ちなみにこちらは受け側の版は作製していません。
そして、三葉虫の輪郭とその下「EMBOSSING PRINT」はエンボス加工で浮き上がらせています。「EMBOSSING PRINT」の文字は亜鉛凸版だと再現が難しいので、このような場合に樹脂凸版が役立ちます。
ちなみに、エンボス加工とは凹状の版を押し付けて浮き上がらせる加工で、受け側(反対側)に凸状の版を使う事でより効果的に浮き出す事ができます。
デボス加工とは凸版を押し付けて凹ませる加工です。空押しとも言います。
ALBATRO DESIGN様
今回撮影にご協力いただいたデザイン会社のALBATRO DESIGN様。東京都内で活版印刷所「PRINT + PLANT」を運営していて、活版印刷機のアナログ性を活かした独自の表現方法で、様々な作品を生み出しています。
トリケラトプスの博物画。エンボス加工による凹凸で、骨の形に触れることができます。
そのほか、当社の製版と独自の技法を駆使した様々な作品をウェブサイトやインスタグラムから見ることができます。
ALBATRO DESIGN様
WEBSITE
instagram
活版印刷所「PRINT + PLANT」の情報はこちら。活版印刷の相談・見学や印刷物の販売などもしております。
PRINT + PLANT (活版カフェショップ)
11:00 -19:00 (土曜日定休)
〒152-0022 東京都目黒区柿の木坂1丁目32-17 PRINT+PLANT
WEBSITE
instagram
また、9月1日(水)まで東京都渋谷区にあるMIYASHITA PARKにて開催されている【TOKYO GEIDAI POP UP STORE.「買える藝大」AT SHIBUYA MIYASHITA PARK】にてALBATRO DESIGN様の印刷作品を購入することが可能です。
カード自動販売機で購入できるのがとても面白いです!将来的には、博物館等に設置し来館されたお客様向けに、トレーディングカードの様な形での展開を考えているとのことでした。確かに、なかなか手にすることの無い活版印刷の作品はコンプリートしたくなってしまいます!
ちなみに、これら作品に使用した版も当社で作製させていただきました。
私は「MOIRE TWO」という作品を引き当てました!モアレ模様が特徴的なとてもおしゃれな一枚です。ちなみに、カードの裏面には用紙名が記載されているので、このまま紙見本・印刷見本として活用することも可能です。
こちらのカードは展示が終わった後、PRINT + PLANT様にて設置販売予定されています。
いかがでしたでしょうか。亜鉛凸版の再現力や、印刷や加工の工夫次第で様々な表現方法が出来るんだ!というのを改めて認識させていただけました。今回はほんの数点しかご紹介できませんでしたが、ALBATRO DESIGN様のウェブサイト・instagramには活版印刷機で作製した様々なアートを見ることができます。
もしかしたら、シール・ラベル印刷でも活かせる技術があるかもしれないので是非ご覧になってください!