「エコマグ」、ゼンマイ刃に革命
㈱フナミズ刃型製版(東京都練馬区高松、木原一裕社長)は、ゼンマイ刃を磁石で固定するシステム「エコマグ」を開発。2月1日から提供を開始する(特許、商標登録出願済み)。
ゼンマイ刃は従来、印刷機のチェス板に両面テープで接着して使用する。固定後の微調整は機械側に調整機能がない限り容易ではなく、また使用後には鉄ベラで剥がす作業を要してきた。
エコマグの磁石部分は非常に強力な磁力をもつネオジム磁石を採用。セット方法は、刃型のベース板に記されたトンボをチェス板のガイドに合わせて位置を決め、アクリル板の4辺のくぼみを固定する仕組みだ。また、磁石は取っ手の端を押すことで、簡単にチェス板から取り外せるよう設計されている。
昨夏から開発に着手した同社では、複数社でエコマグの使用テストを実施。印刷機メーカーや基材の違いに対するエコマグの運用効果を広くサンプリングして、検証結果をもとに改良を施した。
開発の経緯について木原社長は「これまで当社の多くの顧客から、ゼンマイ刃の取り扱いに手を焼いているといった声を確認していた。両面テープは位置合わせや取り外しに時間を要しており、その作業で工具が刃型やチェス板を傷つける恐れもある。恒久的な購入コストも見過ごせない。一方、エコマグは一度購入すれば半永久的に使用でき、位置の微調整や使用後の取り外しも極めて容易で安全。作業性の向上に大きく貢献する」と利点を説明する。
これと共にエコマグの特徴を「抜きムラゼロの実現」と主張する同氏は、次のように解説する。
「クッション性のある両面テープの使用は、抜きムラが生じる主要な原因の一つ。今回開発したエコマグによって両面テープは一切不要となり、刃型側での抜きムラの発生原因を根絶することに成功した。これまで当社は、裏板にアルミ板の採用やセンタートンボを付与することで抜きムラの抑制やセットの簡素化を支援する独自の工夫を実施してきたが、エコマグはこれの集大成。従来のゼンマイ刃の常識を覆し、抜き加工に大きな変革をもたらす存在となるだろう」
セット価格は、エコマグ6個とステン板(雄型用)1枚で2万円(税別)。木原社長は「ゼンマイ刃にムラ取りは必須と思っている方、ムラ取りや刃型交換に多くの時間を取られている方に、ぜひ当社のエコマグの実力を体験していただきたい」とコメントする。