ラベル新聞 2007年5月15日号

エスコグラフィック製「CDI」導入

CTP普及で凸版の長所再確認
 ㈱フナミズ刃型製版(東京都練馬区高松、木原一裕社長、☎03・5393・3170)は4月、エスコグラフィックス精のレタープレスCTP「CDI Spark2120」を導入。約1カ月にわたすテストを終え、5月から本格稼働を開始した。現在、シール・ラベル印刷業界に向けて、積極的なPR活動を展開している。
 同社は1980年、刃型製造を手がける企業として創業。93年には設備投資を図ることにより、製版業務にも着手している。木原社長は「シール・ラベル製造工程で、版と刃型は深く関係していますが、特にデータのやり取りでデジタル化が進んだことを受け、ユーザーから製版業務に関するニーズが多数寄せられたため、業務を開始しました。現在では、樹脂版のほかに、亜鉛凸版の製版も社内で手がけています」と説明する。
 レタープレスCTP導入の経緯は1年前に、得意先であるラベル印刷企業から情報をもたらされたのがきっかけ。業界内ではそれ以前から、高品質ラベルの製造にあたって、オフセット印刷に注目が集まっていた時期でもあった。しかし、設備投資力に余裕のあるラベル印刷企業は限りがあり、多くは凸版の技術力を駆使して、仕上がりをオフに近づけるための努力を行っていた。
 「そもそもオフセットとレタープレスは印刷方式が違うため、多大な苦労を伴います。ラベル業界の中には”オフと比べてレタープレスはレベルが下”という認識をお持ちのかたもいらっしゃいますが、決してそうではありません。レタープレスの方が適したラベルデザインも少なからずあります。ただし、レタープレスの弱点とされるグラデーションの”ボケアシ”や、カラー写真の再現性などの部分は、オフの方が優れているため、そのように勘違いされるケースが多いと思われます(木原社長)」。
 しかし当時は、CTP対応の犯罪に関する開発が進んでおらず、導入を決意するまでには至らなかった。やがて昨秋、富士フィルムなどから対応型樹脂凸版の新製品が発表され、業界内でもレタープレスCTPへの注目が急激に集まることとなる。同社でも、国内のCTP取り扱い会社や、すでに導入したラベル印刷企業から情報を収集した。
 導入を決断した理由について、木原社長は「やはり1%の網点がつぶれずに再現でき、オフセットに近い仕上がりにまでレベルが達したと感じたためです。『CDI』のほかにも候補はありましたが、これまでの実績を考慮し、エスコ製を選択しました」と語る。
 導入のメリットに関しては、細かい文字や線がシャープに再現でき、また白抜き部分も明確になる点もあげる。さらにドットゲインが少ないため、写真の再現性などの部分で、オフセットに近い仕上がりを可能にする点にも着目する。
 ただし、データをそのまま製版するわけではなく、従来のアナログ製版同様、独自ノウハウをもとに事前加工を施している。とはいえ、加工にかかわる作業性は大幅に軽減された。木原社長は「アナログ製版でも、時間をかければ1%の網点に限りなく近づけることは可能ですが、それはあくまでも製版上であって、印刷工程では不可能とされています。しかしCTP版におよりより再現が可能となったのです」と説明する。
 またレタープレスCTPの導入により、ラベル業界の方向性についてもコメントし「先ほども申し上げたとおり、レタープレスの良い部分が再認識されることと思います。例えばインキの盛り量がオフよりも厚いため、メリハリのある印刷を求められる場合は、レタープレスを選択するといったケースが増えるのでは。また、これまでCTPを扱えるのは大規模な企業に限られていたかもしれませんが、当社のように製版業務を手がける企業にレタープレスCTPが導入されることにより、小・零細の印刷企業でもご活用いただけるようになるのでは」と話した。